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今シーズン最後の試合での甲子園ライト・・・

まさかの日本シリーズ3連敗で迎えた第4戦。
舞台は甲子園。

koshien051026_1.jpg濱中選手は今シリーズでは、第3戦に代打で一度打席に立っただけでこの日を迎えました。ちまたのファンの間でも、スポーツ新聞紙上やテレビやラジオなどの放送でも、つながらない打線の起爆剤として濱中選手の起用を提案する声が日に日に増していました。

球場は、タイガースの勝利を願うファンの悲痛なまでの祈りに包まれた一種、特別な雰囲気の中で開始されました。

その中で、ライトスタンドにいつもと違う旗が・・・
応援団が振る旗の中で「濱中」の文字の入った大きな旗がありました。レギュラーシーズンでも見ることの無かった旗が、日本シリーズの甲子園のスタンドにはためいていました。

もしかすると濱中選手への期待の大きさがこんな所にもあらわれていたのかも知れません。

しかし、この試合でも先制したのはロッテ。
初回は三者凡退と上々の滑り出しを見せた杉山投手でしたが、2回表にイ・スンヨプ選手のツーランホームランで先制を許してしまいました。

球場中が「今日もダメなのか・・・」という溜息で満たされました。

4回にも再びイ・スンヨブ選手がタイムリーツーベースを放ち、3対0。

koshien051026_2.jpg一方的な展開の中、迎えた4回の裏のタイガースの攻撃。
4番金本選手からの攻撃だったのですが、攻撃中、ベンチ前には中村豊選手とともに濱中選手がユニフォーム姿で出てきてキャッチボールを始めました。

このタイミングで選手がベンチ前でキャッチボールなどアップを開始すると言うことは、次の回から出番が来ると言うことです。

ただ、試合前までは岡田監督も濱中選手を甲子園で守備につかせることはないと明言していましたので、「中村豊選手が守備につくんだろうか?」と思いながら、それでも頭の片隅では「もしかして、濱中選手が?」と想像してしまいました。
一生懸命その姿を写真に納めようとシャッターを切りながら、「いや、このタイミングで出るなら中村豊選手より濱中選手じゃないか・・・」、そう思い始めてドンドン胸が高鳴ってきました。

koshien051026_3.jpg4回の裏のタイガースの攻撃は、残念ながら結局三者凡退で終わってしまいました。

キャッチボールを終えた濱中選手は中村豊選手からボールを受け取ると肩をポンと叩かれ、ゆっくりとライトへと向かって走り出しました。

そして一塁ライン上に来ると、ライトの守備位置に向かって帽子を取って一礼。

そのままカクテル光線の中で鮮やかな緑に光る芝の上を一直線に走り出しました。

解き放たれたように、走る姿は久しぶりに感じる甲子園の芝の感触を楽しんでいるかのようにも見えました。

koshien051026_4.jpg途中、センターに向かう赤星選手も祝福するかのように濱中選手のおしりをポンポンと叩いて走り抜けていきました。

そうです。
ついに帰ってきたのです。

甲子園のライトの守備位置に・・・

場内アナウンスで濱中選手がコールされる前から、スタンド中が歓喜の声援を送りました。
「濱ちゃーん!」
「濱中~」
「おかえり~」
「やってくれよ~」
ライトの守備位置についた濱中選手に、多くの声がかけられます。

そして場内アナウンス。
「9番、ライト、濱中、背番号31」
球場中からわき上がる大きな拍手と歓声。

koshien051026_5.jpg守備位置でのキャッチボールを終えた濱中選手は、くるりとライトスタンドの方を振り返ると帽子を取ってファンに向かって一礼しました。

「ありがとうございます。帰ってきました。」

報告するかのような一礼に、スタンド中がさらに大きな拍手で応えました。

濱中選手自身がずっとずっと帰ってきたかった場所。甲子園のライトの守備位置。日本シリーズと言う大舞台が復活へのその一歩となりました。

その場にいる濱中選手の姿。見慣れたはずのライトの守備位置ですが、懐かしさと新鮮さが入り交じったなんだかとても不思議で、それでいてすごく自然な雰囲気に、「やっぱりここなんだ。濱中選手のいるべき場所は・・・」そう感じずにはいられませんでした。

シャッターを切りながらファインダー越しに見る濱中選手の表情は決して恐れや不安を抱いたものではなく、この2年間、自分を信じて歩き続けてきた自信に満ちたものに見えました。

「お帰りなさい」

僕の胸はうれしさでいっぱいなのに、どうしても涙をこらえることが出来ませんでした。

koshien051026_6.jpg守備機会はすぐにやってきました。
5回の表、ワンアウトから堀選手の放った打球は一塁線に。

フェンス際までボールを追いかけ処理した濱中選手は、そのまま素早く二塁へと返球。力強いボールがワンバウンドで二塁上に送られ、あわやタッチアウトというタイミングでした。

濱中選手の所に・・・それもライン際の打球が飛んだ瞬間、球場中がハッと息をのみました。
僕の中ではもう何も聞こえなくなって、ボールの行方、濱中選手の動作だけがゆっくりとスローモーションの様に見えました

でも濱中選手は何事も無かったかのようにプレーを続けました。いや、何事も無かったのです。

ボールを追いかけて捕って、投げる・・・野球選手として当然のことが、こうやって普通に出来る・・・
それをちゃんと見せてくれました。この送球を見た誰もが濱中選手の肩が復調していることを実感したと思います。

結局、この日の濱中選手の守備機会はこの1回だけでした。
でも明らかに輝いていた送球でした。来季からの濱中選手の完全復活を十分予想させてくれるプレーでした。

koshien051026_7.jpg
打つ方では結果を出せず、結局チームもやぶれて日本シリーズは千葉ロッテマリンズの31年ぶりの日本一という結果で終わりました。

ですが、最後の最後に濱中選手は見せてくれました。
来季へと続く確かな光を。

終わりではなく、新たなシーズンの始まりです。そう、濱中選手にとって飛躍のシーズンとなるはずの新たなるシーズンの・・・

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